普通の動物病院の診療日記

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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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頑張る19才

実は前回の日記から4,5日目のことです。

18才はすごいとか、女は強しとか書いたためでしょうか・・。

 

今度は19才のオスワンコの手術となりました。

 

こちらは以前からうちに来ていたなじみのあるワンコと飼い主さんですが、フィラリアやワクチンにはあまり熱心なほうではなく、気が向いたらとか思いついたらって感じの飼われかたです。

それでも19年も一緒に暮らしておられるので、愛情はたっぷりというお付き合いです。

 

以前から肛門の周辺に小さなできものがあったけれど、数年間ほとんど大きさがかわらず、飼い主さんは切除を希望されずに様子をみられていました。

ところがここ1ヶ月の間に突然増殖をはじめ、小指の先くらいだった腫瘤があっという間に3cmを超え表面から出血まで始めました。

他にも何もなかったところに、同じように出血をする腫瘤が1cmくらいになり、さすがに驚かれた飼い主さんが来院されました。

 

前にも書いたことがありますが、未去勢の老齢犬の肛門には肛門周囲腺腫という良性の腫瘍ができることは珍しくありません。

ただ、悪性の腺癌であることもあるため、やはり切除して去勢するのが望ましいです。

しかも今回は急速に大きくなっているため、悪いものである可能性も高いかもしれません。

 

時々見た目だけで「癌だ」とか「良性だ」とか診断されたという話を聞きますが、それは間違っています。

見た目では良性か悪性かの判断はできません(ある程度の想像はできます)。

今回、仮に悪いものであっても、それが転移してワンコの命を奪うのと、ワンコ本来の寿命が来るのとどちらが早いかわかりません。

ただ、間違いなくもっと大きくなるでしょうから、ワンコがそこを気にして舐めたり、すでにおうちの中に血がついたりして生活に支障をきたし始めているのも間違いありません。

 

手術の方法や麻酔の方法、リスクなどをお話しして、ご家族で相談してきていただくようお話しをしましたが、この飼い主さんもその場で即決でした。

「せんせ、手術して。」・・。

「・・・、はい。」

 

翌日、全身麻酔下での3つの腫瘤摘出と去勢手術はあっけないほど普通に終わり、ワンコは日帰りで退院していきました。

 

しかしこんな日記書くと、今週あたり20才のワンコが来たりして(笑)。

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この記事への返信
アッハハ!! すごいですね〜19歳のわんこ爺ちゃん!!
そうなると、今度は20歳のわんこ婆ちゃん御来院かなぁ??
でも、元気になって本当に良かった。
いつかは見送る時が来るのでしょうが、それまでは元気で
いて欲しいし、快適な日々を過ごして欲しいと思っています。
なので、shu先生!沢山のわんこにゃんこの為に今後もよろしくお願いします!
身体に気を付けて頑張ってくださ〜いm(_ _)m
Posted by クロちゃんママ | 07:38:24, Sep 19, 2007
クロちゃんママさん、こんばんはー。
すごいでしょ、19才わんこ!
って、喜んでるうちに本当に20才が来たりするからちょっとびびってます(笑)。
今日は避妊手術の予定だった1才のワンコが血液検査でひっかかって中止になりました。
なかなか難しいものです。
いつも応援ありがとうございます。
Posted by shu | 21:13:48, Sep 19, 2007
すごい!
今度は19歳ですか。
高齢の犬猫は、手術をしないほうがいいという考えは
もう古いのかもしれませんね。
できれば、手術をするような病気にならずに
長生きできればいいですけどね。
私は、チビが18歳で、手術をしたほうがいいかもという場面に直面したら
いったいどうしただろうなあって思いました。

このワンちゃんも、もっと長生きしますように。
Posted by まきっころ | 23:03:12, Sep 19, 2007
先日も質問させていただきましたトリマーのナルナルです。
すみません。今回もまた質問です。。。
今回の「肛門周囲腺腫」と「肛門嚢炎」とは、まったく違う病気ですか?お忙しいとは思いますが宜しくお願いいたします。
ちなみに、前飼ってたヨーキーが14才で肛門周囲腺腫(たぶん)になって去勢手術をしました。そしたら、あっと言う間に以前はあった腫瘍が消えてなくなってました。その時はイマイチこの病気の仕組みがわかってなくて「肛門に出来た腫瘍がなぜ去勢手術をしただけでなくなるんだ?」って不思議に思って毎日小さくなる肛門の腫瘍を眺めていましたね。肛門周囲腺腫ってホルモン関係でなる病気なのですよね?だから去勢したのかぁって後からわかった次第です。
あっあと、まったく別のことですが、どんな手術であれ麻酔をかけるとなると血液検査をしてどんな麻酔を使うかや麻酔をかけて大丈夫な体か調べた方がいいですよね?
Posted by ナルナル | 11:22:24, Sep 20, 2007
まきっころさん、こんばんは。
そうです、高齢だからっていうのは手術を回避する理由にはならないのかもしれません。
麻酔薬自体も格段に進歩しているし、麻酔中のモニター、手術の手技・時間などとても進歩しています。
新しいことが全てではないにしろ、時代は確かに進歩しているようですね。
いつも応援ありがとうございます。

ナルナルさん、お仕事どうですか?
お書きになっておられるとおり「肛門周囲腺腫」と「肛門嚢炎」とはまったく違う病気です。
「腫」と付くものは良性・悪性であろうと「腫瘍」です。
「炎」と付くものは細菌感染や物理的原因など原因はいろいろあるにしろ「炎症」です。
「腫瘍」と「炎症」の違いは簡単に書くと「腫瘍」はノーマルな細胞が何らかの原因で異常な細胞に変化して増殖してしまうような状態です。
「炎症」は体が外部からの何かに対して抵抗している正常な反応のことです。

それから僕はどんな手術であれ、全身麻酔をかけるときは必ず血液検査を実施します。
すぐに命にかかわらないような手術、例えば避妊手術などの場合、血液検査の結果によっては延期したり中止したりします。
すぐに命にかかわるような場合、例えば子宮蓄膿症だとか交通事故などの場合は血液検査の結果を見て、悪い状態に対しての対症療法を行いながら麻酔をします。
Posted by shu | 20:47:51, Sep 20, 2007
先生、お忙しいところありがとうございました!
「腫」と「炎」の違いですね!なるほど〜 すごく勉強になりました。
麻酔の件も有難うございました。
また、何か疑問なことがあったら宜しくお願いいたします。
ちなみに、仕事は一人でぼちぼちやってまっす♪
では。失礼いたします。
Posted by ナルナル | 11:24:16, Sep 24, 2007
う〜ん♪長生きワンコちゃんの話を見たり聞いたり
すると勇気をもらえてとっても嬉しいです!!!

前もお話したかもしれませんが、札幌の実家のそばで
保護した子、雪国の外犬であるにも関わらず
保護時、23歳だったんです!!!

飼い主さんが挨拶にこられてわかったんですが
私は感動しました。希望をもらった気がしました。
だからこういうお話きくと「あ〜、うちの子達とも
まだまだ一緒にいれるわ〜♪」って元気になります♪
Posted by mmk | 01:48:32, Sep 27, 2007
mmkさん、こんばんは!
23歳はすごいですよねー。
どんどん動物達も高齢化していってます。
長生きしてね〜って気持ちになりますよね♪
でも、長生きすればするほど、病気も多くなるということも忘れてはいけませんね。
病気なんかしないで元気いっぱい長生きが一番いいですね!!
それを目指しましょう!
Posted by shu | 20:31:03, Sep 28, 2007
先生こんばんは。
19歳で手術・・・できるんですねぇ。
正直びっくりしました。ワンちゃんが凄いのか獣医学が進んだのか?はたまた先生の技術の凄さなのか?わかりませんが、高齢だと手術が危いのではないかとどうしても躊躇してしまいますが、そうでも無いのだなと18歳のワンちゃんと19歳のワンちゃんが証明してくれたようです!心なしかホッとしました。(*^_^*)
Posted by バフィリン | 22:01:16, Sep 29, 2007
バフィリンさん、おはようございます。
そうなんです、高齢でも大丈夫です。
(もちろん、なんでもかんでも軽々しくは引き受けません。)
腫瘍の専門の先生達は普段から主に高齢動物の相手をしておられるため、「年齢は病気ではない。」とよくおっしゃっています。
もちろん、老齢化に伴う腎不全や肝不全があれば話は別ですが、今回の2匹のワンコたちは高齢ではあったけど腎臓も肝臓もしっかりしていました。
それにやはり最近の麻酔薬の安全性はかなりのものです。
もちろん、防げる病気はもっと若いときに防いでおくことが基本ですけどね。
Posted by shu | 08:29:38, Oct 02, 2007
ほんと人間と同じですね〜!高齢化は。幸せでいてくれたらガンッバって欲しいですね。
我が家のブルース君(猫)は先月20歳のお誕生日を迎えました。白内障で目は見えなく、腰の筋肉も衰え歩くのがつらそうです。腎臓が高齢で弱ってきているとの事ですが直接の腎臓治療はしていません。人間で言うと100歳を超える猫ちゃんにあえて必要以上の検査、治療は控えてます。病院でお世話になる(検査を繰り返す)方がどうも負担が大きいようなのです。それより今は、デッキでの日光浴と添い寝がうれしいようです。
確かに医療、技術の進歩すごいと思いますが、やはり、それに携わる人々と動物がどのように対処し、頑張るかによるような気がします。
ともかく、そんなふうに日本の飼い主さんたちが動物たちの病気を理解し、老いてもなおお世話する姿は立派だと思います。
Posted by 猫のおばちゃま | 21:07:23, Oct 06, 2007
猫のおばちゃまさん、こんにちわ。
おお20歳ですかー!
おめでとうございます。

進歩と人間と動物の関係、おっしゃるとおりだと思います。
歳を取るということはどうしても避けられないことですし、飼い主さんたちのお考えも十人十色です。
いろいろな状況や条件から一番よい選択肢を選ばれればよいと思っています。
ちょっとでもお手伝いできればよいかな〜。
Posted by shu | 11:52:08, Oct 10, 2007


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