普通の動物病院の診療日記

November, 2010
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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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ありがとう。

獣医師になって二十数年、動物の命、飼い主さんの考え方、獣医師や動物看護師のあり方、いろいろ考えさせられる毎日です。

動物が好きで好きで、助けられる命ならなんとかしてあげたくって自分自身が獣医師になってしまいました(笑)。

 

先日来の試験的開腹の記事は僕の獣医師人生のほんの一瞬の出来事かもしれません。

でも、それを無駄にしないよう、まだ頑張っているワンコのためにも、ワンコと一緒に頑張っている飼い主さんのためにもまだまだやらねばならないことがあると思います。

 

さて、さて、今日は悲しいけれど素敵な出来事がありました。

8才のウサギさんが亡くなりました。

数年前に毛球症で命を落としかけ、だけど飼い主さんの懸命の介護でみごと復活!

かなり心配性の飼い主さんは僕の病院と縁が切れず(もう、来なくてもいいよって言っても心配だからと定期的に来院されてました)、ほとんど毎週〜毎月健康診断や様子を見せに来ておられました。

 

この冬くらいから劇的に弱ってきました。

いろいろ調べましたが、基本的には老化だと思います。

 

次第に弱っていく子を見ながら仕事もできなくなりそうな飼い主さん。

お顔には疲れがどっと溜まっていくのが見えていました。

 

僕やスタッフの目から見ても飼い主さんの精神的状態が心配される状態でした。

こんな時思います。

僕は獣医師ですから、本来動物の心配だけしていればいいはずですが、どうしても飼い主さんのことまで心配になってしまいます。

 

とにかくお話しを聞くことにしています。

今日のウサギさんの飼い主さんもそんな中のお一人でした。

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本当にウサギさんを愛し、心配し、ご自信のお体を壊されるのではないかと思うくらいお疲れにもなっておられました。
延命以外の何ものでもない治療、自己満足でしかないかもしれない治療、医学的に効果があるかどうかすらわからない治療に懸命に通ってこられました。

あえて書いておきますが、僕は決して治療代欲しさにその飼い主さんに無駄な治療を勧めていたのではありません。

そして昨日、お仕事から帰られた飼い主さんを待つように、ウサギさんは飼い主さんに抱っこされ腕の中で静かに息を引き取ったそうです。
今日、飼い主さんがご報告とお礼に病院に来ていただきました。

涙と笑顔、複雑に入り混じった中で「本当にお世話になりました。」と言っていただきました。

いろいろなお考えのある中、良いとか悪いとか、正しいとか間違っているとか、やっぱり答えはないと思います。

ペットの死因のナンバーワンが悪性腫瘍になった日本、アメリカの死因ナンバーワンは安楽死だそうです。
苦しませたくない、というアメリカの飼い主さんのお気持ちなんでしょう。

今日のウサギさん、飼い主さん、本当にありがとうございました。


この記事への返信
ご無沙汰しております。
我が家でも今月の初旬に、スキニーギニアピッグのあげたまを膵臓の腫瘍で亡くしました。
まだ1歳7ヶ月です。
あっという間に痩せていき、病院に連れて行った時には手のつけようがありませんでした。
少しの改善でも見られれば・・・、と注射と栄養補給の点滴をしてもらい、毎日通う事になりました。
時間を追うごとに衰弱していくのがわかり、見ているのもつらい状態になりました。
エサを液体状にして、注射器で少しずつやっていたのですが、さっきまで飲み込めていたのが飲み込む事もできなくなって・・・。
翌日、朝から体温も低くなり、注射と点滴をしてもらいましたが夕方から行動がおかしくなり、夜に私の手の中で小さな声で3度鳴いて、静かに息を引き取りました。
獣医さんにとっても、やる出ない状況だと思います。
私のところはたった2回の通院でしたが、正直、このまま毎日通院が続いたら破産するぞ!という気持ちもありました。
でも、一生懸命になってくださった獣医さんには感謝しています。
メールで亡くなった事を伝えました。
一週間後、病院からお悔やみにハガキが送られてきました。
Shuさんのおっしゃる通り、いろんな考えがあると思いますが、うちの獣医さんもshuさんと同じ考えだと思います。
長々と失礼ました。
Posted by TAMA | 23:12:42, Jun 29, 2007
syu先生、先日は寂しいコメントをしてしまい、申しわけありませんでした。
日々患畜と飼い主と精一杯向かい合ってくれている獣医師さんに対して、かなりマイナス思考のコメントだったかもしれないと反省しています。

バフィリンさんの仰るとおり、フラフラしながら途中で倒れながらもトイレに向かう姿。
トイレに行きつけず、お漏らし状態になってしまった時のあの顔。
私の目に焼きついています。

どれが正しいとかいいとか悪いとか、やはり答えはないのでしょう。
あるのは、自分自身のしたことに対して納得するか反省するかしかないでしょうか…。
「病院へ行く事」そのものがストレスになってしまう仔もいることでしょう。
自分の愛したパートナーに対して安楽死や自然死や、
真逆の延命を選んだ人たちすべてが、そのことで自分を責めないで欲しいと願います。

アメリカの死因ナンバーワンは安楽死だとははじめて知りました。
でも、それを選ぶ原因はやはり悪性腫瘍なんでしょうか。
Posted by ぽん太 | 00:56:23, Jun 30, 2007
TAMAさん、おはようございます。
あげたまくんは残念でしたね・・、お悔やみ申し上げます。
ワンコやニャンコですら言葉が伝わらないため診断や治療に苦労するのですが、げっし〜ずくんたちはじめ、小さな動物たちはその検査そのものすらできないことが多いですよね。
悔しい思いを何度も経験しました。
TAMAさんもお疲れさまでした。
でもTAMAさんちにはまだまだ大勢の子たちがいますからね〜。
コメントありがとうございました。

ぽん太さん、おはようございます。
寂しいコメントとかマイナス思考とか、ぜんぜんそんなことありませんよ。
いつも心のこもった的確なコメントをいただいて感謝しています。
アメリカで安楽死を選択する原因はわかりませんが、悪性腫瘍も当然多いと思われます。
以前、東京の病院で働いていたとき、アメリカに帰国するため飼えなくなるから安楽死をしてくれと言われたことがありました。
院長が断っていましたが、その方は逆になんで断られるのかがわからず不思議そうにしておられました。
自分の動物を自分が飼ってやれなくなるので、安楽死をするのは当然だとおっしゃっていました。
もらってくれる人もいないし、捨てるわけにもいかないし、飼い主として責任を果たす義務なんだというようなことをおっしゃっていました。
決して命を軽んじているわけではなく、大切に思っているからこそだそうです。
日本人には受け入れにくい考え方ですが、考え方や風習の違う国の場合、そういうこともありなんだと勉強しました。
Posted by shu | 10:36:57, Jun 30, 2007
shu先生、こんにちは。
獣医さんって喜びと辛さとが入り混じるお仕事ですね。こうしてshu先生の本当の気持を知ることが出来て、改めて思います。
私もずっと考えています。飼い主としてどうするのが一番良い方法なのか。ウチの猫も、数週間後の検査結果如何によって、大学病院での手術が必要かもしれません。どこの大学病院でも出来るというわけではなく、特定の病院だそうです。
門脈シャントの箇所が云々とのことでした。(ここで詳しく書くのは避けますね。かかりつけの獣医の先生が話してくれた内容を正確に書ける自信がないので)
そういった高度な治療をすることが、本当にウチの猫にとってよいことなのか、時間の許す限りじっくり考えてみようと思っています。(といっても、その病気と特定されたわけではないので、取り越し苦労になるかもしれませんが・・・)
Posted by neko-kobuta | 11:48:16, Jun 30, 2007
neko-kobutaさん、こんばんは。
獣医学が進歩すればするほど、難しい病気がわかってきます。
僕ら獣医師も飼い主さんも動物達もそれだけたいへんなことになってきているということですよね。
気持ちは人間と同等の医療を求めたいし与えたいけど、かなり難しいんです・・。
今、できる範囲でできることをする、ということが精一杯なのかもしれません。
いつもありがとうございます♪
Posted by shu | 21:08:13, Jun 30, 2007
実は今、こちらもうさぎの看病に明け暮れる状態です。
半月前、一匹が真菌の増殖による下痢をして以来、その後、膀胱炎を起こし、軽度の尿毒症。薬を替えること4回。未だ効果無しです。

飼い主は間近で見ている分、回復して欲しいという願いと、このまま終わりなのかもしれないという、絶望の間を揺れ動きます。
おそらく、その感情の変化で、飼い主は疲れてゆくのかもしれませんね。
獣医さんも、診察する子が元気になって行く経過を見れるならばいいのですが、全く変化無し、もしくは悪化してゆく状況になると、何がいけなかったのか。別の治療法があるのかを真剣に悩んでしまうのでしょう。
その辺は人間の医学も動物のも一緒かなとは思っています。
どのみち結論を出すのはペットではなく、飼い主(人間)だから、私は、自分の都合や感情で、安易に結論を出さないよう努めているだけです。

今回のケースで良くわかることは、先生も飼い主さんも精一杯の努力をされたこと。だから、飼い主さんも、泣き笑いとはいえ、先生にお礼を言えるのだと思いますよ。
私も、そうできればいいのですが。。努力します。
Posted by くぅママ | 16:13:25, Jul 02, 2007
ご無沙汰しております、ぢるです(久々過ぎてご記憶に無いかも 汗)。
ネコのトムさんに新しい友達:ジェリーさん(仔猫)を迎え、賑やかに過ごしております。

さて・・ウサギさんの飼い主さん。
心配な気持ちはもちろんのこと。shu先生を信頼されていたからこそ、
来なくてもいいと言われても通院されていたんですよね。
信頼していなかったら、行きませんもん。
ウサギさんが天に召されたのちにご報告とお礼にいらしたことが
何よりも物語っているし。
お別れは悲しいけど、飼い主さんの腕の中で最期を迎えられた事はふたりにとってよかったですよね・・。
飼い主さん、心配な中 よく頑張ってお仕事されてましたよね・・(泪)。

shu先生もお忙しそうで。
暑い時期、宅配食材屋さんの健康的なお食事で乗り切ってくださいね!
ではまた〜。
Posted by ぢる | 20:31:51, Jul 02, 2007
こんばんは。
きっとどれも正しくない、とか無駄とかじゃないんですよね。きっと。
どの選択でも、飼い主さんの愛情があって、獣医さんや看護師さんが
頑張ってくれて。それが正解だと思うな。
いつもみんなで悩んでるんですもの(^^)
Posted by シゲルのママ | 23:32:42, Jul 02, 2007
おはようございます。
私も、どれが良いとか悪いとか、正しいとか間違ってるとかはないと思います。
飼い主さんの気持ち、動物の性格、環境、それぞれだから違ってていいですよね。
うちの小鉄(2歳)は検査でFIV陽性とわかり、今後の事をアレコレ考える中で
答えが見つからない、いや、答えはないんだと思いました。
Posted by まっちゃん | 10:12:53, Jul 03, 2007
大変ご無沙汰しております。
なんだか、飼い主さんのお気持ちがよく分かるだけに、すごく悲しいですね。でも、それだけ思ってもらったウサちゃんは、幸せですね。
私もかなりの心配性で、ちょっと心配があるとすぐに診てもらいにいきます。ニャンズやワンコたちは迷惑かもしれないけど。
shuさんみたいな獣医さんは、動物を心から大事に思う飼い主さんにとって、本当にありがたく、大きな存在だと思います。自分たちでは、どうすることもできない分、何とか助けてほしいと思いますものね。
ワンコやニャンコたちが次々と保護されてくるのを見ていると、無責任な飼い主などが多すぎて、なんとも言えない気持ちになります。
このウサちゃんの飼い主さんのような方にお会いするたびに、元気をもらいます。
早く飼い主さんの心の痛みが薄れていきますように。
Posted by yukky | 12:50:03, Jul 03, 2007
くぅママさん、こんにちは。
そうですか・・、たいへんですね。
きっと僕が飼い主さんなら何かできないかと、いろいろ試行錯誤を繰り返したり、不安になったり、いらいらしたりすると思います。
ですが、飼い主さんあっての動物でもありますから、飼い主さんが健康であられることがとても大切だと思っています。
のんびり努力されてくださいね。

ぢるさん、こちらこそご無沙汰しています。
ぢるさんもトムさんももちろん忘れませんよ〜。
ジェリーさん!来たんですねー。
ウサギさんの飼い主さんはほんとに心配しながらも頑張られてました。
頑張られすぎが心配でした。
でも、なんかいい顔で来られたので安心したんです。
Posted by shu | 18:50:07, Jul 03, 2007
シゲルのママさん、こんばんは。
そうですねぇ、おっしゃるとおり、無駄ではなかったと思います。
ありがとございます♪

まっちゃんさん、こんばんは。
いや、ほんとですね、答えはない。
ん〜、もしかしたらあると思えばあるし、ないと思えばないのかも。
小鉄くんの記事読みました。
ショックでしたでしょうね。
発症しないように大いにかわいがってあげてくださいね。

yukkyさん、こんばんは。
僕らも飼い主さんたちからよく元気をもらいます。
いろんな考え方があって、プラス思考の方と出会うとこっちまでエネルギーをもらえるようです。
ありがとうございます。
Posted by shu | 21:25:23, Jul 03, 2007


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