普通の動物病院の診療日記

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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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生命力

1167296299055330.jpgこの仕事をしていると、時々「生命力ってすごいな〜。」と感心することがあります。

 

写真のニャンコは生後3ヶ月くらいの子猫です。

半ノラとして生まれてからどこかの会社の倉庫に居候。

社員の方に餌を与えられながらすごしていました。

 

ある日、倉庫に積んであった重たい荷物がこの子の上に落下!

左の後足が地面と荷物の間に挟まれてしまいました。

 

驚くことに左後肢が膝の下付近でちぎれてしまったのです。

当然、かなりの出血があったと思われます。

そうとうの激痛もあったと思われます。

ばい菌の感染だって受けてたと思われます。

 

病院に連れてこられたのは怪我から約3週間後でした。

何故、そんなに長い間病院に連れてこられなかったのかは、今回は置いておきますね。

主題はこの子の生命力についてですから。

 

怪我の部分、すなわち足が骨ごとちぎれてしまった部分にはなんとか肉が盛り、出血も止まっており、多少腐敗臭はするものの肉の上にはカサフタができ、それ以上の感染から身を守っているのでした。

しかし、歩こうとするたびにカサフタが地面に擦れ、血が滲んでしまい、とても歩きにくい状態でした。

ですが、本人はとても人懐っこく、ごろごろ擦り寄ってくるくらい元気です。

連れてこられた方の話では食欲も十分に回復しているとのことでした。

 

問題はこの後、おそらく断脚を選択したほうがこの子には楽だろうということですが、飼い主さんもおらず、手術の費用もなく、何しろ将来がまったくわからないという状態でした。

 

とりあえず、会社へ連れて帰られましたが、その後来院もなく、どうなったのか・・・。

すると一人のスタッフが「どうにもあの子が気になって我慢できません。私が自分で飼ってやりたいけれど、かまいませんか?」と聞いてくるではありませんか!

「いや、そりゃもう、かまうもかまわないも、飼ってあげなさいな♪」と(笑)。

ラッキーなことに、4月からうちで働いているそのスタッフの家には現在ネコがおらず、機会があったらノラちゃんでも飼おうと思っていたそうです。

 

そして、先日、スタッフからの申し出を受け、世話をしておられる方が病院にお菓子と一緒に連れてこられ、現在、隔離して居候中です(笑)。

遊んで欲しくてじゃれ付いてきますが、怪我してる足が地面に着くと痛みとバランスの崩れのせいで転がってしまい、うまく遊ぶことができません。

近いうちにスタッフの家に帰ります。

年が明けて、現在多少ある貧血が改善されたころ、うまく断脚して今後の生活を楽にしてあげる予定です。

 

それにしてもよく生きていたものですよね。

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この記事への返信
本当に凄いですね。頑張った分、新しい家と新しい家族の中で、幸せに生きて欲しいです。
犬の場合だと、車いすのようなモノを装着している姿を見かけたことがありますが、猫の場合はどうなのでしょうか?
しばらくしたあとで結構ですので、この猫ちゃんのその後。みたいな記事をお願いしますね。
Posted by くぅママ | 20:46:15, Dec 28, 2006
こんばんは。
ご無沙汰してしまってごめんなさい(><)
確かにすごいですよね。
「生命力」って。
なんか言葉では表しにくいけど私は人間もそうだけど動物も生きるには「気合」とか「勇気」とかだと思います。
医療で治すには限界がある。
「もうダメだ。生きれない。」そう思うと本当にもうダメだな〜って思ってしまう。
けど、気合で「まだ大丈夫!!絶対に生きる!!!」そういう思いを持っていたらなんか本当に病気が治っちゃいそう。そんな感じがする。
というのと同じなんでしょうかね。
「生命力」って。
その子自信が持っていたのではなくその子自信が自分で持った。身につけた。
なんかわけがわからなくなってしまいましたね(^^;)
まぁ・・・・「奇跡」に言い直すと(?)、「奇跡」は起きるのではなく、自分で「奇跡」を起こさせる。
みたいなこと・・・・を言いたいんです(^^;)
上手くいえなくてごめんなさい(>0<)
その猫ちゃん、頑張った分だけ幸せ。だね^^
これからもその生命力で乗り切っていってね。

もうホントわけわかんなくてゴメンなさい(−−;)
Posted by 友夢 | 21:03:42, Dec 28, 2006
クリスマスにふさわしい心温まるお話でした。このこは足をなくしてしまったけどケガをすることがなければ先生の所にくることもなかったですし、家族にしてくれる人にめぐり合うこともなかったでしょうし、足と引き換えに愛をてにいれたのですね。健やかな成長を祈っています。
ネコちゃんと、優しいスタッフの方と、先生に・・
来年も幸多き一年になりますように
Posted by コロスケ | 23:45:52, Dec 28, 2006
shu先生、お久しぶりです(^-^)いつも拝見させてもらっています。私も札幌に居た頃3ヶ月の子猫を車でひいてしまい病院へ夜中に駆け込んだ事がありました(前お話した気が・・)血を大量に吐いていて、私にはもう消え行く命としか思えませんでした。先生に泣きながら「ダメなら早く楽にしてあげて下さい・・・・」と頼むと「獣医ですから、全力を尽くして助けたい」と言って必死に治療をして下さいました。後から聞いたら先生も実は助からないと思っていたらしいですが、3週間かかって元気になってくれました。もの凄い生命力だと先生もビックリされていました。その時の事を走馬灯のように思い出しました。後遺症は残ったものの飼い主さんも見つかり幸せな結果に終わりました。
その子を引き取って下さったスタッフの方に心からありがとうとお伝えしたいです。
Posted by mmk | 00:55:23, Dec 29, 2006
くぅママさん、おはようございます。
そうですね、犬では車椅子をよく見かけます。
猫ではあまりみかけませんが、やはり椎間板ヘルニアが猫よりも圧倒的に犬に多いからなんでしょうね。
猫でも事故などで下半身不随になってしまった場合など、猫用の車椅子を製作してくれるところもあるようです。
今回のこの子は断脚したとしても、3本足で普通に走ったり跳んだりできるようになりますから車椅子は不要ですけどね。

友夢さん、おはようございます。
わけわかんなくないですよ(笑)。
ちゃんとおっしゃりたいことは伝わってますよ♪
おっしゃるとおり医療には限界がありますよね。
僕にも限界があるし。
病気を「治した」ではなく、「治った」という経験はいっぱいしています。
まして、今回の子猫は病院にすらかからないで大怪我から復活していますから驚きですね。
応援ありがとうございます。

コロスケさん、おはようございます。
そう、「足と引き換えに愛を手に入れた。」まさしくそうですね〜。
昨日のうちにスタッフのおうちへ帰っていきました。
今日、お休みのスタッフと今頃は楽しく過ごしているんでしょう。
ありがとうございます。

mmkさん、おはようございます。
こちらこそご無沙汰してて・・・。
札幌の子猫(前にお聞きした気が・・笑)、やはりすごい生命力ですね。
その子もよかったですね♪
僕も今まで何度か「もうダメかな」と思いながら復活してくれた動物たちを経験しています。
教科書的な理屈だけではわからない、まるでそういう力があるようですね。
そういう力のお手伝いがちょっとでもできるといいなと思います。
Posted by shu | 11:37:57, Dec 29, 2006
生命力・回復力ってすごいと思います。
幼い命が生きたいって思ってがんばってきたのでしょう。
不幸の中にも、倉庫の中が3週間もの子猫を守ってくれたのでしょうか?
ずいぶん心細かっただろうに、人間を恐れることなくいてくれたことに生命力と運の強さなどなど感じます。
不幸にして片足を失ってしまいましたが、この子猫の強さでは、きっと大丈夫でしょうね!
そしてまた、スタッフの方の暖かい気持ちが、きっとこれからの幸せな時間を作っていってくれることでしょうね。
うちのさっちも、もと飼い猫?〜野良猫〜うちの子になり、保護した理由も、梅雨の初め、瞬膜が目の半分くらい覆っていて、この夏越せないかもしれないと思い保護してきました。
保護した時にはすでにシニアだったみたいなので、少しでも安心できる環境を作って長生きして欲しいと思ってます。
不幸な野良猫が1匹でも少なくなることを願ってやまないです。
どうか、お身体ご自愛ください。
また寄らせていただきます。
長文失礼致しました。
Posted by さっち | 14:30:27, Dec 30, 2006
さっちさん、こんにちは。
ほんとに幼い命なのに、よく頑張ったと思います。
連れて帰ったスタッフはもうこの子にぞっこんみたいです(笑)。
さっちさんちのさっちちゃんもよい出会いがあってよかったですね。
幸せですね。
僕も少しずつでいいからかわいそうなノラちゃたちが減っていくといいと思います。
ありがとうございました。
Posted by shu | 15:02:49, Dec 31, 2006
にゃ〜
年の瀬に、なんと感動的な話を読んでしまいました(笑)

この猫ちゃん、本当によかったですね。
3週間も病院に来られなかったのはつらかったですが
それでも、連れてきてもらえて
優しいスタッフさんのおうちの子にもなれて。
きっと今は痛みも忘れてますよね。

今年も、たくさんのためになる記事をありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。
よいお年をお迎えください。
Posted by まきっころ | 17:05:08, Dec 31, 2006
そうそう。
先日、過去の記事を読んでいたらshuさんからのコメントがあるのに気づきました。
もう1年以上も前の記事です。
いまさらですが、一応、コメントを書きましたので(笑)
よろしかったら読んでください。

こちらです。

http://cat.pelogoo.com/torachibi/archive/1133326051439577.html#tb
Posted by まきっころ | 17:08:15, Dec 31, 2006
まきっころさん、こんばんは。
今年も残すところあとわずかとなりました。
こちらこそよろしくお願いします。

それにしてもよくコメント見つけられましたね〜(驚)!!
1年以上ぶりのコメントありがとうございました(笑)。
Posted by shu | 20:59:41, Dec 31, 2006
はじめまして
友人に紹介していただいて
おじゃましました
読み逃げしていこうとおもったのですが
一言
なんだか
ありがとうございましたと
いいたくて・・・・・
Posted by kochi | 16:26:20, Jan 09, 2007
kochiさん、はじめまして。
こちらこそありがとうございます。
僕はkochiさんのHPやブログを知っていました。
どこかから伝って拝見させていただいたんだろうと思います。
kochiさんはじめ、動物達のために活動しておられる方々には本当に頭の下がる思いです。
僕自身もできることをお手伝いしていこうと思っています。
本当にありがとうございます。
Posted by shu | 18:56:41, Jan 09, 2007


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