普通の動物病院の診療日記

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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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断脚

しばら〜く更新をさぼっている間にも、いろいろな動物たちがやってきていました。

 

そのうちの一人ですが、数日前、とても写真はお見せできないような交通事故に遭ったワンコが来院しました。

 

散歩中に首輪がすっぽ抜けて走り去ってしまい、家族の方があちこち探されて、翌日になって保健所で保護されているのを発見されたそうです。

交通事故にあったようで、前足の肘から先がちぎれた状態になっていました。

おそらくタイヤと地面の間に巻き込まれたようで、皮膚と腱を数本残しただけでぶら下がっている状態でした。

すでに悪臭を放っていました。

 

呼吸の状態もきわめて悪く、ほとんど横たわった状態で、また腹部も強打しているようで、肝酵素値も検査機械の測定上限値をはるかに上回っているものでした。

 

多量の出血があったはずですが、幸いすでに止まっており軽い貧血程度で済んでいました。

 

ICU(酸素濃度を空気中のものより濃くし、温度や湿度を管理できる入院ケージ)で預かり、ショックの改善などのため、まず一晩入院させました。

翌日はぶら下がっている足からかなりの腐敗臭が漂い始めてきました。

食欲はまったくないものの、多少元気も出てきて、呼吸も改善してきたため、肩からの断脚を行いました。

 

避妊・去勢手術の記事に書いたような健康時での全身麻酔ではないため、リスクはかなり高いのですが、痛み、感染、ショックなどさまざまな悪い要因から救ってあげるためには止むを得ないと考えました。

 

手術そのものは無事に終わり、麻酔を切りました。

通常なら手術が終わってガス麻酔を切ると数十分以内には立ち上がるまで覚醒するのですが、さすがに覚醒するのに数時間かかってしまいました。

 

しかし、翌朝になると自力で立つことができるようになり、痛み止めが効いているのもあって顔つきがまったく違うようになりました。

お見舞いに来た飼い主さんを見て、うれしそうに尻尾も振れるようになりました。

さらにその夕方からは食事もできるようになりました。

2,3日後に退院して行きました。

 

肘から先がちぎれたままの状態で、出血やショック状態であったろうに、保健所で一晩過ごし、さらに翌日も病院で点滴やICUに入っていたとは言えもう一日を過ごし、手術に耐え、よくぞ頑張ってくれたと思います。

 

今までも何度も書いてきましたが、ほんと、交通事故には気をつけましょうね。

今回のワンコは保健所に保護されていなければ、飼い主さんに見つからず、そのままどこかで亡くなっていたかもしれませんね。

 

 

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この記事への返信
このワンちゃん、すごいですね。
そんなすごい怪我をしていたにもかかわらず
2.3日後には退院できたなんて。
無事飼い主さんにあえてちゃんと治療も受けれて
本当によかったです。
Posted by まきっころ | 18:55:22, Oct 12, 2006
shuさんご無沙汰です〜。
辛いですねぇ。
話を読んでて痛々しいです(>_<)
でも足がなくったって、飼主さんもいるんだからこれから元気に過ごせますよね。
以前、うちで紹介した猫ちゃんが、片足ないんです。
でも健康な子よりもすっごい元気に走り回って、体格もよく成長していました(笑)
このワンちゃんもそうですが、いい人間に巡りあえたんですね。
(車でひいた人は悪い人ですが・・・)
Posted by シゲルのママ | 20:36:32, Oct 12, 2006
事故にあって放置されて死に至る動物は多いのに、保健所でもよく保護してくれたと思います。そんなにひどい怪我で、応急手当もしてもらえなかったのはかわいそうですが、人目につかないところに隠れてしまったら、そのままでしょうから。

事故が起きたのは、人間がコントロールできない状態にあった犬のせいであって、轢いた人が悪いわけではないとはいえ、飛び出してきたのが人間の子供だったらひき逃げですものね。轢いてしまった人、そのままにしないで病院に連れて行って欲しかった…
Posted by TYCHO | 23:35:16, Oct 12, 2006
まきっころさん、おはようございます。
ちょうど記事を書いたあと、昨日、来院されました。
まだ一部抜糸できてませんが、すっかり元気でした。
驚きの回復力です。

シゲルのママさん、おはようございます。
そうですよね、3本足になってもすごく上手に順応してくれます。
腫瘍などいろいろな理由でやむを得ず断脚することがありますが、よほどの大型犬でない限り、4本足と変わらないくらいの生活ができるようになりますよね。

TYCHOさん、おはようございます。
おっしゃるとおり、まさにワンコにとっては不幸中の幸いだったと思います。
今回はどういう状況で事故が起こったのか、まったくわかりません。
轢いた方もある意味被害者でしょう。
保健所に通報したのもその方かもしれません。
全然別の人かもしれません。
足がちぎれてぶらぶらして血だらけのワンコを見れば、普通の方なら怖くて逃げたくなるでしょうしね。

やっぱり事故そのものがおこらないように、飼い主さんはしっかり動物を守ってあげましょうね。
Posted by shu | 09:24:10, Oct 13, 2006
前足がそんな状態で、本当に痛くて辛かったでしょう。
飼い主さんも、保健所で再会したときのショックは計り知れなかったと思います。
でも、悲しい事件が多い中、生きていてくれてありがとう…そんな気持ちです。
Posted by わらび | 12:24:46, Oct 13, 2006
わらびさん、こんばんは。
そうですよね、最近、嫌なニュースが多い。
うちの病院でも時期的に暇な割りに重症な動物が続いてどうなることかと思っていました。
このワンコはそんな中にやってきた重症患者さんでしたが、ほんと、元気になってよかったです。
Posted by shu | 19:36:31, Oct 13, 2006
shuさん、こんばんは。
読んだだけで、ワンコの痛みが。。。
脚を失い、痛みに耐えていたのを想像すると、ほんとに可哀相ですが、飼い主さんが、保健所で保護されてたのを発見できたことが救いでしたね。
shuさんのもとで、元気にしてもらい、そのワンコが飼い主さんのところへ帰れて本当に良かったと思います。
shuさん、お疲れさまでした。
shuさんのように、動物の命を救える獣医さんたちがいてくださること、有難いなと常々思っています。
Posted by yukky | 00:13:23, Oct 14, 2006
yukkyさん、おはようございます。
ありがとうございます♪
行方不明になって、チラシとかをいっぱい貼って探しても、見つからない子たちもたくさんいます。
この子はほんと、不幸中の幸いだったんでしょうね。
きっと、これからはもっともっとかわいがってもらえると思います。
Posted by shu | 05:56:34, Oct 14, 2006
shuさん、はじめまして。
今回の記事を読み、カキコせずにはいられませんでした。
わたしの家にも柴犬がいるんですけど、
去年のちょうどこのくらいの時期に交通事故に遭いました。
散歩中に母が、「リードに繋がれているのはかわいそう」だと、
途中で放してしまったんです。
嫌な予感がして、散歩に行った母を追い掛け、追いついたとたんにです。。。
母は、「呼ぶと帰って来るから」と言って、何度注意しても聞きませんでした。
そこで、ちょろ吉(柴の名前です)が車に突っ込み。。。
口から血が流れ、痙攣していました。膀胱から少量の血尿も。
でも、幸いに、どこも骨折もなく、意識もすぐに戻り、
2日入院して、すぐに退院できましたが、
母は、リードを着けてるのは”かわいそう”なんじゃなくて、
家族(命)を守る為に絶対に放してはいけないんだって、
事故に遭ってやっと分かったようです。。。
あの時の衝撃を思い出すと、今でも涙が出ます。

今回のわんちゃんも、脚は失ったかもしれませんが、
家族の元に帰れてよかったですね。
きっと『生きて家族の元に帰りたい』って願いが叶ったのかもしれませんね。
Posted by へーたママ | 23:04:04, Oct 16, 2006
ごぶさたです。
時々こそっと読み逃げしてます(苦笑)。

交通事故は災難でしたが(という言葉では片付けられないことですけども)
無事に発見、手術、退院と・・ 本当に良かったです・・。
飼い主さんと再開でき、生きる力が増したのでしょう。
それともちろん 適切な処置も。
保健所に届けてくれた方にもありがとうって感じですよね。
Posted by ぢる | 12:59:00, Oct 17, 2006
このわんちゃんの生きることへの執着、脱帽しました。それだけでなく、飼い主さんの心が通じていて保健所で再会出来たことも、それと、先生のような獣医さんにめぐり会えたことも、全てが良い方向に進んだ結果なんでしょうね。心が温まりました。私の姉の犬もこの夏、14歳で目も見えなくなり、耳も遠くなっていたのですが、夜中に庭から、垣根の下を掘り、外に出てしまい、目が見えないのに、いつもの散歩のコースを歩いていたそうです。残念なことに姉夫婦が居ないのに気付き探した時には、もう、車にはねられた後で、保健所に行った時には、焼かれる1時間前でした。危機一髪で自宅に連れて帰ることが出来て、最期のお別れも出来たのです。交通事故に遭わない様、飼い主が気をつけてあげたいものですね。
Posted by リボンママ | 16:51:26, Oct 17, 2006
へーたママさん、こんにちは、はじめまして。
けっこうな衝撃を受けた事故で、その程度で済んだのは幸運でしたね〜。
お母さんもそうとう怖い思いをされたんでしょうね。
人間のお子さんを車の行きかう道路で、手を放して自由にさせるのと同じことだと思わなければなりません。
ちょろ吉くんもこのワンコも命が助かってよかったですね。

ぢるさん、こんにちは。
こちらこそご無沙汰してます。
こういう出来事があると、飼い主さんも今まで以上にかわいがってくれるようになりますね。
3本足でも上手に歩いたり走ったりしていますから、幸せに生きてくれると嬉しいですね。

リボンママさん、こんにちは。
まったくおっしゃるとおり、事故の後はすべて良い方向に進んだんだと思います。
お姉さんのわんちゃんは残念でしたね。
Posted by shu | 14:06:14, Oct 18, 2006


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