普通の動物病院の診療日記

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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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猫白血病 1

今回は猫白血病についてです。

これもご存知の方が多いでしょうし、ネットでもたくさんヒットしてきます。

 

猫白血病ウィルスの感染は、母猫の胎内にいるときに起こる胎盤感染や、母乳からの感染もありますが、母猫が子猫を一生懸命育てる際に唾液から感染することが最も多いとされています。

同じ食器の飲み水などからも感染が起こりますが、一度や二度の接触ではなく、持続的な接触がなければ感染は成立しないようです。

また、喧嘩による咬傷からも感染は起こります。

複数の猫を飼っておられる場合は、グルーミング好きな猫たちがお互いの体を舐め合うことで感染が成立してしまいます。

 

感染したウィルスは、最初口や鼻に近い局所のリンパ節で増殖し、次に血液中のリンパ球などによってあちこちのリンパ節に運ばれて増殖します。

そして骨髄に入ります。

骨髄は「造血」する場所なので、血液に様々な影響を与えます。

この辺りまでが急性期であり、発熱、リンパ節の腫脹、下痢、貧血、血小板減少、白血球減少などの症状が起こります。

 

そして、骨髄内で増殖しながら、感染した血液中の好中球(白血球の一種)や血小板によって唾液を分泌する唾液腺などの細胞に感染します。

そして唾液など、体から分泌される体液からウィルスが出てきて、他の猫に感染することになります。

これが慢性期であり、ウィルスを持ち続ける持続感染となり、発症してしまうと実に様々な病気や症状を起こしてしまいます。

リンパ腫やリンパ球系の白血病、腎不全、口内炎、免疫性疾患など様々です。

 

さて、病院では血液から感染を調べることができます。

ELISA法と言われる検査法で、ウィルスの体を構成するp27というタンパク質の有無を調べます。

ウィルスに感染しても、最初にウィルスは口や鼻に近いリンパ節で増えるため、すぐには血液検査で発見することができません。

 

感染してから3,4週間たたなければわからないようです。

したがって、子猫などを保護されて、調べてみようと思われた場合、陰性であっても、3,4週間後にもう一度検査してみる必要があります。

 

そして、もしも陽性であった場合、その時点では猫白血病ウィルスは体内に存在していることになります。

しかし、この時期は急性期であり、ここで軽症であったり無症状であればウィルスは体外に追い出され、治癒してしまう例もあることが知られています。

また、インターフェロンによって免疫力を高める治療や、その時に呈している症状に応じた対症療法で治癒を目指す治療を行います。

 

そして、4ヵ月後に再検査をします。

その時点で陰性になっていれば、治癒に向かっている可能性がかなり高いでしょう。

治癒すれば、生涯、猫白血病に感染することはありません。

 

逆に再び陽性であれば、持続感染になっていると考えられます。

治るか治らないか、感染した時の猫の年齢によって大きく差が出てしまうようです。 

 

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この記事への返信
白血病の説明、ありがとうございます。

つつじとマリーが白血病が陽性だったとき、お先真っ暗でした。
ちょうど、歌手の本田美奈子さんが亡くなったりして、怖い病気って思いました。
治るという気持ちと、治らないっていう気持ちが交差して
検査は本当にどきどきでした。

つつじとマリーは治って本当によかったです。
あきらめずに信じて治療することが大事ですね。
つつじとマリーはお母さんからうつったんですよね。
今、お母さんはどこで何をしているのか。
発病せずに生涯暮らしてほしいです。
Posted by まきっころ | 17:40:49, Jun 21, 2006
まきっころさん、こんにちは。
そうですよね、あの時はつつじ&マリーちゃんが白血病陽性って書いてあって、ほんとにびっくりしました。
陰転して本当によかったと思います。
頑張って治療されたからですね。
そして、たぶん母猫さんからの感染以外考えられないですよね・・。
元気ならいいですね・・。
猫白血病ウィルス感染症はいわゆる白血病とはちょっと違うんです。
白血病にもいろいろあるし、実際に白血病も起こしますけどね。
リンパ腫の猫から見つかったから、猫白血病ウィルスという名前が付いたのだそうです。
Posted by shu | 18:43:38, Jun 21, 2006
犬と白血病が陽性ですが、発病していない猫を一緒に住まわせることは可能かな?と思って、ネットで検索していてこのサイトを発見し、読ませていただきました。

犬と白血病が陽性ですが、発病していない猫を一緒に住まわせることが可能なら、保健所で殺される運命の猫を救ってあげたいなと思っています。
Posted by ki | 23:40:10, May 04, 2007
kiさん、はじめまして。
文面からはどういう状況なのかちょっとわかりにくいのですが・・。
まず犬には猫白血病ウィルスは感染しません。
また、白血病に感染している猫と他の猫の同居の場合は、白血病の猫に接触させないとか、まだ感染していない猫にしっかりワクチンを打って抗体を作っておいたほうがいいでしょう。
Posted by shu | 13:51:17, May 07, 2007
何からどうしていいのか途方にくれている時に、ここをみつけました。教えてください。先日事情があって猫白血病ウィルスに感染した生後約6ヶ月の猫を引き取りました。
検査は以前の飼主が1ヶ月前に1度したそうです。
家には2匹の高齢の猫がいます。今は隔離して飼っています。2匹には感染させない様、感染猫を世話した後は手・足洗いをして先住猫には接しています。
いったい何をすればいいのか、頭が真っ白で順序だてて考えることができません。
これからまず、何をすればいいのかを教えて頂けないでしょうか?
Posted by ミケ | 21:46:57, May 10, 2007
ミケさん、はじめまして。
先住猫さんたちとは隔離しておられるようですね。
そして手を洗っておられるようですね。
そうしたらほとんど感染してしまう心配はないと思います。
感染猫の排泄物や唾液が先住猫さんたちに触れないよう、今のままで飼ってあげてください。
そして、3ヶ月位したら感染猫さんを動物病院へ連れて行って、もう一度ウィルス検査を受けてください。
あるいは、一度かかりつけの病院があればそちらに連れて行かれて、先生と相談してみられてください。
濃厚な接触がない限り、そんなに簡単にうつるウィルスではありませんのでまずはミケさんが冷静になりましょうね。
Posted by shu | 14:30:41, May 11, 2007
ご返答をありがとうございました。
念の為先住猫にワクチンを打つべきかとも考えたのですが、ワクチンを打つと腫瘍ができるという情報を読んで、高齢(19歳・9歳)の猫に逆に危険を与えてしまうのは・・・と混乱したり、もうすぐ6ヶ月になる感染猫の避妊手術もしなくてはならないが、感染猫は傷が治りにくい、という情報を読んでまた手術後どうなるのかと不安になり・・・。引き取ってから色々な事が恐くて眠れない夜を過ごしています。
前の飼主とその前の飼主が診ていただいた獣医さんはあまり相談にはのってくれなかった様に聞きました。前の飼主は「先住猫を飼っているのなら手放しなさい」というような事を言われたそうです。私もそんな風に言われたら・・・と思うと恐いです。
冷静になるようがんばります。
Posted by ミケ | 21:29:14, May 12, 2007
ミケさん、こんにちは。
いろいろご心配でしょうけど頑張ってください。
http://www.jbvp.org/
前にも書いたことがありますが、上記のサイトに飼い主さんの相談コーナーがあるし、石田先生という猫のウィルスの第一人者の先生のサイトです。
いろいろ参考にしてみてくださいね。
Posted by shu | 13:14:44, May 13, 2007
先生。初めてメールいたします。
生後約2ヶ月くらいの仔猫のことです。1ヶ月前に拾って育てて来ました。3日前、病院で白血病が陽性と出ました。
その先生は、「ストレスにない生活をさせて下さい、それだけです。」と・・・また検査をして陰性になる可能性もあるが、極めて低いです、との言われました。
昼間は留守で誰も居らず、15歳の犬を室内飼いしています。
仔猫を助けてあげたいんです。インターフェロモンについて教えていただけますか?
私自身、まだ動揺しているんです・・・
宜しくお願い致します。
Posted by コテツ | 12:57:24, Aug 24, 2007
コテツさん、こんにちは、はじめまして。
ご心配ですね・・。
確かにその月齢の子猫だと、生まれてすぐに感染してしまっている可能性が高いため、残念ながら陰転する可能性は低いかもしれません。
それでもあきらめずに数ヶ月してからもう一度検査をしてみてください。
インターフェロン(フェロモンではありません)は、本来別の病気に使用されることで発売されている薬です。
免疫力を高めてウィルスを体から排除させるために使用します。
何回か通院して注射してもらうことになりますが、あくまでも他の病気用の薬品ですので、効能外使用になります。
接種法もいくつかの方法がありますし、確定したものではないのでそちらの先生とよく相談されてください。
Posted by shu | 15:10:44, Aug 24, 2007


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