初めてワクチンの接種に来院される飼い主さんたちの多くが、「何種類のワクチンを打てばよいのか。」と質問されます。
あらかじめネットや本で種類や副作用などを調べて、ご自分で決められてから来院されるかたもおられます。
ペットショップで種類を勧められて、決めてから来られる方もおられます。
そして、種類が決まってからは、生後何週令に打って、2回目は何週間後に打つか、3回目は必要か、次にうつのは大人になってからか、その後は毎年か、3年ごとなのか・・・、ずっと同じ種類のワクチンでいいのか、ということになっていきます。
では、種類について書いていきますが、まずここで、知っておいておかなければならないことがあります。
コアワクチンとノンコアワクチンということです。
コアワクチンとは、「接種したほうがよい」とされるワクチンです。
病気自体の発生も比較的多くて危険であり、副作用はさほど強くないと言われるワクチンです。
犬では「犬ジステンパーウィルス」、「犬パルボウィルス」、「犬伝染性肝炎(アデノウィルス1型)」の3種類、そして「狂犬病ワクチン」です。
ご存知のとおり、狂犬病ワクチンは法律で決まっている飼い主さんの義務ですから、「接種したほうがよい」、ではなく、「接種しなければならない」ワクチンです。
猫では「猫汎白血球減少症(猫パルボウィルス)」、「猫伝染性鼻気管炎(ヘルペスウィルス)」、「猫カリシウィルス」の3種類です。
ノンコアワクチンとは、「接種したほうがよい」ではなく、かと言って「接種しなくてもよい」でもなく、「いろいろな情報(生活環境や動物の状態、副作用など)によって接種するかどうかを決めてください」というワクチンのことです。
犬では「犬コロナウィルス」、「犬パラインフルエンザウィルス」、「レプトスピラ(これは2〜3種類あります)」です。
猫では「猫白血病ウィルス」、「猫クラミジア」です。
日本と外国では違いますし、日本では発売されていないワクチンも外国には存在したりします。
ですから、基本的には犬も猫も、上記のコアワクチンだけを打てばよいということになります。
ノンコアワクチンに関しては、それぞれの病気の特性、飼育環境、副作用、その他を総合的に考えて打つか打たないかを決めなければなりません。
動物病院やペットショップでただ単に8種にしましょう、そうしましょうとして決めるのではなく、できるだけ飼い主さんたちがご自分の環境などをお考えになられて接種するワクチンを決められるのが望ましいと思います。
飼い主さんにワクチンの種類について相談されたとき、うちではいろいろ説明しようとしますが、「まあ、たくさん予防できたほうが安心だから、たくさん入ってる奴を打っといて。」と言われることもありますし、「一番流行ってる奴を打っておいて。」と言われることもあります。
そして真剣にご自分の環境やお考えを話されて相談の上で決定されることもあります。
動物病院もさまざまでしょうし、獣医師もさまざまでしょうけど、飼い主さんもさまざまなんです(笑)。
次回は種類の決め方(あくまで参考程度)について書きますね。
今のところ、おそらく間違ったことは書いてないとは思いますが、獣医師の考え方、飼い主さんの考え方、ブリーダーさんやペットショップの考え方はみんなそれぞれ違うと思いますので、ここに書いてあることがすべてだとは思わないでくださいね。
また、地域性というのも大きな違いになります。
一応、獣医学的なデータや報告のあるものだけ(いわゆる、証拠のあるものだけ)を書いていくつもりです。
ただし、今年の論文で正しかったことが来年には違う論文が出てしまって、僕自身、来年は違うことを言っているかもしれません。
これは常に進歩している世界ですから、止むを得ないとご理解ください。
ときどき、僕の個人的な考え方も入ってしまうと思うので、ご注意を(笑)。