普通の動物病院の診療日記

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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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ワクチンのお話 3

1141284743847105.jpg初めてワクチンの接種に来院される飼い主さんたちの多くが、「何種類のワクチンを打てばよいのか。」と質問されます。

 

あらかじめネットや本で種類や副作用などを調べて、ご自分で決められてから来院されるかたもおられます。

ペットショップで種類を勧められて、決めてから来られる方もおられます。

 

そして、種類が決まってからは、生後何週令に打って、2回目は何週間後に打つか、3回目は必要か、次にうつのは大人になってからか、その後は毎年か、3年ごとなのか・・・、ずっと同じ種類のワクチンでいいのか、ということになっていきます。

 

では、種類について書いていきますが、まずここで、知っておいておかなければならないことがあります。

コアワクチンとノンコアワクチンということです。

 

コアワクチンとは、「接種したほうがよい」とされるワクチンです。

病気自体の発生も比較的多くて危険であり、副作用はさほど強くないと言われるワクチンです。

 

犬では「犬ジステンパーウィルス」、「犬パルボウィルス」、「犬伝染性肝炎(アデノウィルス1型)」の3種類、そして「狂犬病ワクチン」です。

ご存知のとおり、狂犬病ワクチンは法律で決まっている飼い主さんの義務ですから、「接種したほうがよい」、ではなく、「接種しなければならない」ワクチンです。

 

猫では「猫汎白血球減少症(猫パルボウィルス)」、「猫伝染性鼻気管炎(ヘルペスウィルス)」、「猫カリシウィルス」の3種類です。

 

ノンコアワクチンとは、「接種したほうがよい」ではなく、かと言って「接種しなくてもよい」でもなく、「いろいろな情報(生活環境や動物の状態、副作用など)によって接種するかどうかを決めてください」というワクチンのことです。

 

犬では「犬コロナウィルス」、「犬パラインフルエンザウィルス」、「レプトスピラ(これは2〜3種類あります)」です。

 

猫では「猫白血病ウィルス」、「猫クラミジア」です。

 

日本と外国では違いますし、日本では発売されていないワクチンも外国には存在したりします。

 

ですから、基本的には犬も猫も、上記のコアワクチンだけを打てばよいということになります。

 

ノンコアワクチンに関しては、それぞれの病気の特性、飼育環境、副作用、その他を総合的に考えて打つか打たないかを決めなければなりません。

動物病院やペットショップでただ単に8種にしましょう、そうしましょうとして決めるのではなく、できるだけ飼い主さんたちがご自分の環境などをお考えになられて接種するワクチンを決められるのが望ましいと思います。

 

飼い主さんにワクチンの種類について相談されたとき、うちではいろいろ説明しようとしますが、「まあ、たくさん予防できたほうが安心だから、たくさん入ってる奴を打っといて。」と言われることもありますし、「一番流行ってる奴を打っておいて。」と言われることもあります。

そして真剣にご自分の環境やお考えを話されて相談の上で決定されることもあります。

 

動物病院もさまざまでしょうし、獣医師もさまざまでしょうけど、飼い主さんもさまざまなんです(笑)。

 

次回は種類の決め方(あくまで参考程度)について書きますね。 

 

今のところ、おそらく間違ったことは書いてないとは思いますが、獣医師の考え方、飼い主さんの考え方、ブリーダーさんやペットショップの考え方はみんなそれぞれ違うと思いますので、ここに書いてあることがすべてだとは思わないでくださいね。

また、地域性というのも大きな違いになります。

 

一応、獣医学的なデータや報告のあるものだけ(いわゆる、証拠のあるものだけ)を書いていくつもりです。

ただし、今年の論文で正しかったことが来年には違う論文が出てしまって、僕自身、来年は違うことを言っているかもしれません。

これは常に進歩している世界ですから、止むを得ないとご理解ください。

 

ときどき、僕の個人的な考え方も入ってしまうと思うので、ご注意を(笑)。

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この記事への返信
真ん中の子、ぬいぐるみみたいですね。(^m^)
最近子供シリーズですか?
引き続き楽しみにしています。画像も。(笑)
Posted by なみち | 19:12:47, Mar 02, 2006
なみちさん、こんばんは。
確かに子供シリーズです。
でも、みんな捨てられてたり、飼ってもらえずにスタッフが休日返上で里親探しした「一歩間違ってたらかわいそうなことになってたかもシリーズ」です(笑)。
・・・、いや、笑ってる場合じゃないですねぇ・・・。
でもまだまだ続きます(涙)。
Posted by shu | 20:42:09, Mar 02, 2006
私は素人ですから、詳しいことはわかりません。
ただ、shuせんせいが、>ときどき、僕の個人的な考え方も入ってしまうと思うので、ご注意を(笑)とおっしゃることも、常に医学が進歩している中で、こうやって、ひとつの意見、見解を獣医師として、発信することの難しさは、わかるつもりでいます。

でも、ただかわいがるばかりの無知な飼い主にも、いつも、わかりやすく説明や助言をしてくれる場所、サイトがなかったことも事実なんです。ですから、みなさん、きっと興味深く聞いていらっしゃることと思います。
shuせんせいも、お忙しいでしょうし、いちいちネットでの相談など受けていたら、きっと大変だとは思うのですが、同じ思いで不安を持っている私たち飼い主(この言葉はあまり好きではありませんが。笑)たちに、ココで少しでもアドバイスをしていただけると本当に有り難いことだなぁと思っています。
Posted by みえこ | 20:42:21, Mar 02, 2006
みえこさん、ありがとうございます。
小さい病院ですが、幸いうちのスタッフには獣医師もいるので、暇を見つけてはブログに書き込むことができます。
うちに来てくださる飼い主さん達に直接お返しはできないかもしれないけれど、もしも、こんなブログでも、動物達や飼い主さん(ご家族ですよね)たちに安心とか幸せなどをちょっとだけでも増やせる手助けができたらいいな〜っと思って始めたブログです。
みなさんに応援していただいてありがたく思っています!!
Posted by shu | 21:44:57, Mar 02, 2006
はじめまして。ワクチンや病気について調べていたらこちらがHITして、夢中で読ませて頂き、ブックマークしました。

私はブリーダーをやっていて今、子育ての真っ最中です。
若い犬もいますが、シニア犬も数頭います。
新しく命を生み出す責任やオーナーさんに引き渡す場合のアドバイス、またはシニア犬の管理など色々な情報を読むようにしています。

我が家ではワクチンは先生と相談して接種しています。オーナーさんにはまずこちらで二種のパピーワクチンを接種して安定してから引き渡し、先方に行った時の健康管理やワクチンについてはやはり先生と打ち合わせて決めて頂いています。
ブリーダーでも色んな人がいますが、ワクチンに関しては違法なやり方で接種している人が案外多いです。その方が断然安いから、という事でしょうが私はやはりそういう方法はとりたくないし、きちんと病院とのやりとりを密にして愛犬の健康管理をしていきたいと思っています。

これからも生の情報を色々と書いて頂き、私自身もまた勉強していきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。
Posted by HERO | 22:30:37, Mar 02, 2006
HEROさん、はじめまして。
こちらこそよろしくお願いします。
特に初めて犬を飼う人たちは、最初にお話を聞くことになるのがブリーダーさんやペットショップさんからです。
HEROさんのようにきちんと勉強されているブリーダーさんがおられるのはとてもうれしく思います。
そして、ブリーダーさんのところですでにワクチンが接種してあれば、ますます安心ですね。
新生子の初回ワクチン接種時期についてはなかなか難しいのですが、かかりつけの先生もおられるようですし、その点もうれしく思います。
今後ともよろしくお願いします。
Posted by shu | 09:58:30, Mar 03, 2006
ワクチンのお話。
とても参考になり、勉強になります。
知ってるようで知らないっていうのが本当かもしれません。
つつじとマリーは3種を受けました。

このような説明をブログに書いてくださり
私も含め皆さん感謝していると思います。
ありがとうございます。
Posted by まきっころ | 16:21:18, Mar 03, 2006
まきっころさん、おはようございます。
ありがとうございます。
つつじちゃん、マリーちゃん、元気そうで安心しています。
今月また検査でしたね。
頑張れ〜!
Posted by shu | 09:12:54, Mar 04, 2006
はじめまして。
猫2匹と暮らしています。
1匹は猫白血病のキャリアです。(推定10歳)死にそうなのを保護し、しばらく仕事場で看護しました。よくなってきたので、仕事場ではもう飼うことができないので、自宅に。
同居に際し(悩みました、この子を飼ってくれる人は・・いませんでした)先住猫(4歳)にワクチンを打ちました。4種です。その2ヶ月前にはじめて3種を打ったばかり・・狭いところで2匹飼っていますから、部屋をわけたりできません。去勢雄同士で、仲がいいのかわるいのか?よく窓辺で日光浴しながらお互いなめあっています。微笑ましい光景ですが、こころから喜ぶことはできません。だ液からもうつることは知っていますから。さて、先生が私の立場だったらどうなさいますか?このさきずっと2匹はいっしょに暮らします。今年も、またワクチン打ちますか?現在上質のフード、ビタミンC等与えています。薬等はなし。キャリアの子の発症(今、元気いっぱいにみえます)も心配ですが先住猫のこともとてもとても心配なのです。
Posted by lulu-mari | 18:17:22, May 05, 2006
lulu-mariさん、こんにちは、はじめまして。

結論から先に書きますが、僕なら先住猫くんに白血病ワクチンを毎年打ちます。

先住猫くんは4才とのことで、成猫の場合、万一感染してしまっても持続感染という状態に陥るのは10%程度だとされています。
90%の猫は感染してもウィルスが消えてしまうということです。
ですが、もしも10%に入ってしまったら、と思います。
白血病ワクチンによる線維肉腫も十分怖ろしい副反応ですが、1万分の1、つまり0.01%の確率ということになります。
ご心配されておられるように、同居している猫が白血病のキャリアということは、お互い舐めあっているとのことで感染する可能性は十分あると思いますよ。
僕が現在家で飼っている猫は、以前は病院で暮らしていました。
他の猫との接触はさせないようにしていましたが、それでもほぼ毎年白血病のワクチンは接種していました。
現在家に連れて帰ってからは接種しておりません。
Posted by shu | 19:25:40, May 05, 2006
お返事、ありがとうございます。
白血病のワクチンというのは、昨年打った4種ではなく、
白血病のみ、ということですか?
Posted by lulu-mari | 13:06:00, May 07, 2006
少なくとも白血病単独のワクチンは毎年打ったほうが良いと思います。

白血病以外のコアワクチンは、アメリカ式に最低限の接種間隔を考えると、初年度2回、1年後に1回、次からは3年に1回でよいといわれてます。

lulu-mariさんの飼育環境で、白血病以外の病気に感染する可能性を考えてください。
保護猫が保護時に目やに鼻水を出していたなら、ヘルペスウィルスに感染しているかもしれません。

近所に野良猫が多くて、もしも糞を踏んで帰られたらパルボウィルスに感染する可能性もゼロとは言えません。
ご心配でしたら、3年に1回くらい、3種混合を打たれればよいかと思います。



Posted by shu | 13:51:50, May 07, 2006
上記、どれも、あてはまります。
野良ちゃんの世話もずっと続けています。
靴やズボンをかえたりしていますけれど・・

やっと、決断できそうです。ありがとうございました。
Posted by lulu-mari | 15:33:20, May 08, 2006


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