昨日に続いてワクチンのお話です。
ものすごく簡単なことも書いていきますので、すでにご存知の方は我慢してください。
まず、当たり前のことですが、ワクチンそのものはウィルスなどの病原体を殺してくれるものではありませんよね。
病原体をやっつけるための手助けをしてくれるものです。
ワクチンには病原体となるウィルスなどを人為的に変異させ生きたまま無毒化した(すなわち病原性をなくした)生ワクチンと、病原体となるウィルスなどを殺した不活化ワクチンとがあります。
それらのワクチンが注射などによって体内に入ることで、体にそれと戦うために抗体という免疫力(防御するための武器)を産生させます。
一般に生ワクチンは液性免疫と細胞性免疫の両方を作ってくれ(下に書いておきます)、しかも長期間効果が持続します。
ただ、無毒なはずのウィルスが突然変異して有毒なものになる可能性や、体調の悪い動物や高齢の動物に対してある程度の病気の症状を出す可能性があると言われています。
ここで言う病気とはアレルギーなどの副作用のことではなく、たとえばジステンパーのワクチンで軽いジステンパーのような症状が出てしまうという意味です(僕は経験がありませんが)。
不活化ワクチンは病原体が死んでいるため、体内で増えたりその病気を発現させることはありません。
ですが、液性免疫しか産生させてくれませんし、一般的には効果が短く、生ワクチンよりも反復回数が多くなります。
それを補うためにアジュバントと呼ばれる免疫を高めるのを助けてくれるものを混ぜてあったりします。
ただし、アジュバント自体にも副作用を起こす可能性があります。
そして、どちらにせよ、ワクチンを接種することで、本物の恐ろしいウィルスなどが体内に入って来たときに、体内の抗体が武器となって病原体をやっつけてくれるわけです。
あくまでも病原体をやっつけてくれるのは自分の力(免疫力)であって、ワクチンはその力を強くしてくれるだけのものです。
その意味では細菌感染に使用して、細菌をやっつけてくれる抗生物質とは異なります。
また、免疫力には液性免疫と細胞性免疫という2種類があります。
液性免疫は数種類の免疫グロブリンというたんぱく質で、細胞性免疫はある種のリンパ球などで構成されています。
両方が揃っていればより強い免疫力となりますが、不活化ワクチンでは液性免疫しか産生させることができません。
しかし、ウィルスに対しては液性免疫だけで対応できますので不活化ワクチンで大丈夫です。
ワクチンを接種する目的は抗体を高めることです。
抗体を高めるために、いつ、何を、何度接種しなければならないかがとても大切なことになります。
副作用もあるのですから、どっちが得か(逆にリスクが高いか)を考えて接種を決めなければなりません。
そこが一番悩まれるところですよね。
単純に抗体価が十分維持できて、病原体から防御できるために必要なワクチンの接種は、子犬、子猫のころに2,3回(これも単純ではないため、あとで説明しますが・・)、1年後に1回、あとは3年に1回で大丈夫ということがわかっています。
では何故、そうならないのか・・・。
いろいろな要因や理由がありますので、順を追って書いていきたいと思います。