よく見る腫瘍に脂肪腫というものがある。
皮膚の下にできていて、触るといかにも脂肪のかたまりという感じ。
脂肪腫そのものは良性の腫瘍なので特に問題もない。
以前は触り心地だけで「まあ、脂肪腫だと思いますよ。様子を見ましょうね。」と言って、あまり積極的に摘出をすすめていなかった。
しかし、最近、腫瘍専門の先生のセミナーや勉強会に出かけると、「脂肪腫の中、どこか一部に肥満細胞腫ができていることがあるから針を刺したところに何もなくても安心しないように。」とよく言われる。
それで最近では飼い主さんにそれを伝え、少なくとも針は刺してみるし、できれば摘出して検査に出すようにしている。
脂肪腫の場合、針の中身をガラス板に乗せてアルコールで固定すると、ほとんどの細胞がアルコールで溶けて流れ落ちてしまうから何も見えないことが多い。
数日前に来たワンコもお尻に脂肪のかたまりのような腫瘤ができていた。
飼い主さんの希望で本日摘出。
検査にも出す。
ただの脂肪腫なら心配ないのだ。