尿閉の話題は前にも書いたけど、これから重要な季節なのでもう一度。
この1週間で、オス猫の尿閉(おちんちんに結石とかが詰まってしまい、排尿できなくなる状態)が3匹も来た。
1匹は常連さん。
1年間で4回も入院した猛者である。
あとの2匹は初体験。
どのニャンコたちも尿が出なくなってから1,2日だったので大事には至らなかったが、3日間を越えると命が危なくなる。
何しろ体内の不要なものを尿で排泄することができなくなるから。
いわゆる尿毒症と言う状態になる。
腎臓そのものは悪くないのだが、腎臓より後ろの部分、すなわち膀胱・尿道の結石のせいで腎不全と同じような血液検査の数値になる。
腎後性腎不全と言われる状態である。
何度も何度もトイレに行く。
そのうち嘔吐をし、食欲・元気がなくなる。
ほっておくと死ぬ。
初めての飼い主さんはたいていトイレに行くけどウンチが出ないと言われる。
膀胱は岩のようにガチガチになる。
2匹は無麻酔でおちんちんからカテーテルが入り、数日の入院で無事退院。
今日のニャンコは麻酔をかけ、お腹に針を刺し、膀胱から直接尿を抜いた。
膀胱からの圧力がなくなったところでカテーテルを挿入し、排尿させ、膀胱洗浄をしてカテーテルを陰茎包皮に固定。
これで最低2,3日入院して、血液の数値が下がるのと自力排尿ができるのを確認してから退院。
しばらくは抗生剤の治療が必要だし、再発もあるから安心はできない。
今日のニャンコはストルバイトという結石が尿道に詰まり、尿閉をおこしていた。
尿結石と一言で言っても数種類あるけれど、ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)がもっとも多い結石である。
ストルバイトの場合、尿がアルカリ性になると結晶ができやすく、膀胱内のある種の細菌(尿をアルカリ性にする細菌)や血液、膀胱の上皮細胞などとくっついて結石になる。
幸い、ストルバイトは食事でコントロールできる結石である。
が、食事でコントロールできない結石は詰まるたびに処置したり、手術しなければならなくなる。
結石は、まず結晶ができてから、そして結石になる。
雪の結晶が雪になるようなもの。
したがって、結晶が結石になるまでになんとかすればよい。
第一に尿を溜めさせないこと。
尿を溜めていると、膀胱内で結晶が結石になる時間を与えることになる。
だから尿を我慢させないこと。
清潔好きなニャンコたちは汚れたトイレは好まない。
僕だって前の人が流してないトイレを使うのは嫌だ。
1匹のニャンコにトイレが2つ以上あるといい。
砂はこまめに代えてあげる。
最近、一週間代えなくてもいいという砂が発売されたが、大丈夫なのかな・・・。
飼い主さんはどんどん遊んでやって、ニャンコの運動量を増やしてあげよう。
喉が渇けば水を飲む。
そして尿をいっぱいしてもらう。
また、歯石ができにくいのはドライフード、経済的にも得なのはドライフード。
その代わり缶フードはものにもよるけれど組成の70〜80%が水分である。
したがって、食事をすることがすなわち水を飲むことになる。
尿結石経験ニャンコは缶フードのほうがいい。
とにかく結晶が結石になる隙を与えないことが重要。
だから、猫がこたつで丸くなって運動しなくなるこの時期から春先まで、尿閉の猫がたくさん来院する。
気持ちはわかるよね。
ポカポカ暖かく運動しないから喉が渇かないし、ちょっとくらいおしっこがしたくなってもトイレに行くのが寒くておっくうだよね。
ニャンコの飼い主さん、これからの季節は要注意です。
思いっきり遊んであげてね〜!
そして、きれいなトイレ、きれいなお水です。