9月の初めごろに、「たかが血便、されど血便」という題名の日記を書きました。
今日はその経過報告です。
日本犬、年齢は14才弱。
性別メスです。
前にも書いたとおりお腹の中に腫瘤がいくつかできていました。
血便は止まらないまま。
内視鏡での直腸、結腸の検査でも異常がみつかりません。
お腹の中の腫瘤の検査をするかどうか・・・。
飼い主さんに考えてきてもらうことにしました。
普通、年齢を考えると「まあ、この子の寿命だと思いますから。」と言われるケースが多いかな。
人間で言うなら80歳くらいでしょうか。
僕もそう言われるのを無理やり開腹手術をして腫瘤を見てみるほど積極的にはなれなかったと思います。
だけど、その飼い主さんは数日後に、「お腹を開けてください。」と言われました。
「体力的に手術に耐えられなくて死んだとしても、後悔したくない。原因が何だったかわかっておきたい。」とのことでした。
それからすぐに開腹手術を行いました。
事前の超音波などの検査で、おそらく脾臓の腫瘍、卵巣の腫瘍、もしかしたら、まったく別物など、おおよその見当はついていました。
手が付けられなかったら、そのまま閉腹するかもしれないとも伝えました。
そして、開腹。
まず、右側の卵巣が大人の拳大くらいの卵巣嚢腫に。
卵巣、子宮を摘出しました。
そして、やはり脾臓が凸凹の大きな腫瘍になっていました。
脾臓を全て摘出しました。
次に肝臓。
形は正常ですが、色が黄色。
肝臓の一部を切り取って検査に出すことに。
次に血便の原因を腸の外側から調べるために大腸、小腸、胃と消化管を見ていきますが、異常は見当たりませんでした。
腹腔内のリンパ節の腫脹もありませんでした。
結局、卵巣は嚢腫。
これは良性のもの。
悪性に見えた脾臓はこれまた良性の腫瘍。
肝臓は異常なし。
という病理検査診断書が帰ってきました。
それからのワンコ、血便もまったくなくなり、元気・食欲ともにバリバリです。
脾臓にできていた腫瘍は脂肪腫と髄外造血細胞の腫瘍、要するに普通は血液を造る細胞は骨髄にあるのに、脾臓に血液を造る細胞が脂肪の中に集まって腫瘍化し、何らかの理由で腸に出血を起こしていたらしいのです。
僕には詳しい機序はわかりません。
が、腫瘍を取った途端に出血がおさまりました。
「年齢は病気ではない」と腫瘍の専門の先生が言われました。
歳だから、確かに麻酔や手術は怖いと思うのは飼い主さんだけではなく、僕も怖いです。
だけど、今回のような例もあるんだなー、と思いました。
手術時間だってけっこう長時間かかったのに、そのワンコ、手術中もまったく状態が安定していました。
今もとても元気ですよ。