普通の動物病院の診療日記

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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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また交通事故

病院の診察時間も終わりに近づいたときに、駆け込んでこられた人がいた。

 

「車にはねられて!」

持っておられる箱の中には黒いきれいなオス猫がぐったりと横たわっている。

すでに呼吸も止まり、心臓も動いていない。

人工呼吸や心臓を動かす薬、心臓マッサージなどを試みてみるが5分、10分たっても心電図は何の反応も見せない。

 

頭の中では「もうすでに亡くなっている。蘇生はしないんだろう。」と、思うのだが、そばで涙を溜めてじっと見ておられる飼い主さんに、いつ「もうだめです。」と言えばいいのか、何度同じ場面にあたっても悩んでしまう。

 

そして、決心して言う。

「残念ですが、お力になれませんでした。」と。

 

このブログを始めてからすでに何匹の猫が交通事故で亡くなったんだろう。

ここに書いていない子もいる。

 

外に出しさえしなければ・・・、交通事故には遭わないのに。

今日の子も去勢していないオスだった。

 

今日はハムスターの断脚をして、犬の帝王切開をして、猫の去勢をして、大忙しだったけど、それなりに充実した一日だった。

そしてこれから、近隣の獣医さんたちとの勉強会に出かける。

やりがいのある一日だったけど、最後に悲しかったな・・・。

 

 

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この記事への返信
うちのグレのお母さんは、グレがうちに来る当日の朝、脱走して亡くなっているところを発見されたとか。。
車が少ない道路でも、事故は多いにあるのですよね。

半分笑い話で、男性の飼い主さんが「男として、それだけは勘弁させてやりたい」とか言って虚勢させない人も少なくないらしいですが、アホちゃうかっ!と思います。
私は親ばかですが、こういうのは種類が違うバカですよねっ!?


ところでハムスターの断脚とは、字の通り、脚の切断ってことですか...?
あんな小さい子が、そんな手術に堪えられるんですね。。

先生、お疲れ様でした。
Posted by たみ | 20:15:20, Oct 18, 2005
たみさん、こんばんは。

実は、僕も自分が去勢されることを考えるとなんとなく同情してしまい、どうなのかな〜と、思っていた時期もあったんですよー(笑)。

でも今の仕事を始めてみると、去勢することで事故や病気(具体的には交通事故やエイズですが)を防ぐチャンスがとても多くなることがわかりました。
だから、今は去勢を勧める立場の獣医師です。
あくまで、飼い主さんのお考えが最終的なものになりますけどね。

また、僕の住む田舎では猫は外に出して飼うのが当たり前と思っておられる人も多いです。
僕の実家もそうでした。
それに、例えば、お嫁さんは去勢や避妊したいと思っていても、おじいさんが無駄なことはするな、と、言われるケースなどもまだまだあるんですよ。

さて、ハムスターの断脚ですが、おっしゃるとおり後ろ脚の切断でした。
30gにも満たないジャンガリアンハムスターがケージの金網に脚を挟んで、脛が折れ、皮膚と血管だけでつながっていたような状態でした。
大きなゴールデンハムスターなら、なんとか骨折の手術も可能ですが、ジャンガリアンは小さすぎて僕の技術ではどうしようもなく、せめて、感染や痛みを取るために断脚しかなかったんです。
ところが決して珍しい症例ではないんです。

そして意外とガス麻酔には耐えてくれるんですよ。
小さいけれど、生きる力には驚かされます。

たとえ数百円で売っているハムスターであっても、手術が終わるまでの間、今日の飼い主さん(お母さんと、小学生くらいの女の子3人姉妹)がご心配して連絡を待っておられる様子をお聞きすると、本当にうまくいってよかったと思います。
Posted by shu | 00:55:08, Oct 19, 2005
はじめまして。おはようございます。
Perogooのトップページからリンクしてきました。

我が家は北海道で酪農農家をやっています。
猫は今7匹いますが、室内飼いにしているのは1匹だけです。
この子は兄妹が交通事故で亡くなってしまったので、この子だけはと、1歳になってから室内飼いにしたのです。
それ以外の猫は・・・牛舎のネズミ退治や畑のモグラ退治というお仕事があり、とっても精進して働いてくれています(^^;;

>お嫁さんは去勢や避妊したいと思っていても、おじいさんが無駄なことはするな、と、言われるケースなどもまだまだあるんですよ。

ほんと、そのとおりなんです。
避妊さえも無駄だと。
子猫が生まれたら捨ててくればいいというほど。
去勢にいたっては輪ゴムで縛っておけばいいとも・・・
以前それを実行してしまった従業員がいて、半野良だったその猫はおしっこの出口まで縛られて生死の境をさまよいました。
それを助けたからしっかり飼い猫になったんですけどね。
そういう虐待まで、田舎では根強く残っているんですよ。
でも、去勢しない雄猫は100%雌猫を求めて旅立ってしまいます。
(去勢してもだめですけど・・・つまり雄猫には厳しい環境みたいで)

ためになるお話が色々聞けそうなので、またお邪魔してみます。
ありがとうございました。

Posted by みちま | 08:34:46, Oct 19, 2005
みちまさん、はじめまして。おはようございます。
HP覗かせていただきましたが、さすが北海道ですね〜!
牛舎のネズミ退治や畑のモグラ退治というお仕事なんて、車や病気のない世界ならほのぼのとしていて微笑ましいですけどね。
(もっともネズミくんやモグラくんにとっては微笑ましいなんて言ったら叱られてしまいますが・・・。)

避妊手術や去勢手術はどうしても全身麻酔が必要です。
以前に比べると今の麻酔薬はかなり安全なのですが、それでも100%というわけにはいきませんよね。
それで手術をためらわれる方も多いかと思います。

もちろん費用もかかりますし、生まれたら捨ててしまえばよい、というのも昔からの考え方ですもんね。
でも、昔はなかったこういうブログなどネットの力は大きいですから、少しずつ変わっていってくれるといいですね。
Posted by shu | 10:22:43, Oct 19, 2005
自分の飼い猫が交通事故で死んだら、絶対に自分を責めますよね。
「外に出すんじゃなかった」「あの時ドアを開けるんじゃなかった」って。
家の中だけで飼っていても心配事はたくさんあるのに、外に出したらもっとたくさんの心配事ができちゃいますよね。
できるだけ多くの飼い主さんが室内でかってくださるといいですよね。

Posted by まきっころ | 16:39:18, Oct 19, 2005
ハムスターの断脚・・・つい最近、見た番組(難病・プロジェリアに冒されたアシュリーちゃんのドキュメンタリー)の中で、かわいがっているペットのハムスターが事故から下半身麻痺となってしまい、獣医に安楽死を勧められたアシュリーちゃんは、そのハムスターを失いたくないと思い悩んだ末に、「自分も痛みを持っている。痛い時はじーっとやり過ごしている。だからこの子の命も同じはず、それを守るのは当然。」といって、水を飲むことも出来なくなったハムスターを看病するんです。
水をあげたり、えさをあげたり、上手く排泄できないので、感染症になっては大変とお尻を一日に何回も洗ってあげたりして、そして突然思いついて、手作りの台車を作り始めたのです。
下半身を台車に固定して前足だけでも歩けるようにと。
両親は、じっと黙って、事の成り行きを見守っているのです。
その後、ハムちゃんがどうなったのか番組では解らなかったのですが、アシュリーちゃんが「命」と向き合っている姿に心が打たれました。
命あるものが教えてくれる事って本当にたくさんありますね。

交通事故ほ不慮のことではあっても、防ぐ為の手立ては考えておかなければ・・・と、ここでまた思っています。
Posted by ふーちゃ | 16:50:58, Oct 19, 2005
まきっころさん、おはようございます。
おっしゃるとおり、ほとんどの飼い主さんが「やっぱり外に出すんじゃなかった。」と言ってご自分を責められます。
そういう人をたくさん見てきました。
特にオス猫は外に出すことで自分自身が交通事故やエイズにかかるという危険を持ち、さらには交尾をすることで不幸な子猫をたくさん作っているんだということ、ひいては妊娠したメス猫の飼い主さんにもご迷惑をかけることになるということを、メス猫以上にオス猫の飼い主さんは認識しなければならないと思います。

ふーちゃさん、おはようございます。
アシュリーちゃんの番組のことは知っていましたが、僕はああいう番組を見ると切なくてつらくなるので最後まで見ることができません(弱)。
ハムスターのことは知りませんでした。
ですが、おっしゃるとおり、教えられることがたくさんありますね。
僕も命に関してあまりに日常的につきあっているため、その尊さを忘れそうになることがあるかもしれません。
そういうときに、思い出させてくれるのが飼い主さんたちです。
Posted by shu | 11:19:12, Oct 20, 2005


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