お酒を飲むと、楽しい気分になる。最新の脳科学の研究から、この楽しさが脳内でどのように発生しているのかがわかってきました。人間が楽しさや興味、心地よさを感じている時に働いている、ドーパミンという成分。お酒を飲んだ時に、この成分が作用しているらしいのです。
ドーパミンは、行動の動機を学習する、という機能を持った因子。行動に対して、快感を得ることでも分泌されます。例えば、暑いときに上着を脱ぐと涼しい、という場合を考えてみましょう。上着を脱ぐと涼しい=快感である、ということを学習し、動機付けを与える、これがドーパミンの役割なのです。また、分泌されることで、脳を覚醒させ、集中力を高めたり、楽しさや心地よさといった感情を生み出す働きももっています。
お酒を飲んだ時、このドーパミンが分泌され、その結果脳が「楽しい」という感情を持ちます。また、ドーパミンが出過ぎた時にそれを抑制するGABA(ギャバ)という脳内物質が、アルコールによって逆に分泌を抑えられ、働きが鈍くなり、その結果ドーパミンがどんどん活性化していきます。お酒を飲むとしらふの時より盛り上がるという現象は、ここに起因しているようです。
ただし分泌が多すぎると、依存症や幻覚症状を引き起こしたり、逆に少なすぎると行動が起こせず、パーキンソン病につながるということもわかっています。また、飲酒によるドーパミン依存が、アルコール中毒の原因に関わっている事も指摘されていますから、やはり飲み過ぎには注意!