ピルの副作用の多くは、卵胞ホルモンに関係しています。ピルの開発史はいかにして卵胞ホルモンを少なくするかという歴史でした。卵胞ホルモン剤を50μgまで減らすことに、それほど大きな問題はありませんでした。そこで卵胞ホルモン剤の用量が50μgのピルが普及しました。これが中用量ピルです。これ以上の卵胞ホルモンが必要な場合に、まれに高用量ピルも使われました。
卵胞ホルモンの用量を50μg未満にしたものが、低用量ピルです。低用量ピルの卵胞ホルモン剤の用量は、20μgから40μg程度になっています。日本で認可されているピルについていえば、30μgから40μgとなっています。卵胞ホルモン剤30μg未満のピルについては特に超低用量ピルといわれることがあります。
■黄体ホルモンの世代
ピルに使われている黄体ホルモン剤は、開発の古い順に第1、第2、第3に区分されます。使われている黄体ホルモン剤の種類で第1世代ピル・第2世代ピル・第3世代ピルに分類されるわけです。
低用量ピルの分類では、最も本質的な分類になります。
■混合ホルモン剤とミニピル
排卵後の女性の体の中では黄体ホルモン(プロゲステロン)が作られます。黄体ホルモン(プロゲステロン)は、排卵後や妊娠中に多くなるホルモンです。性周期の初期からピルとして黄体ホルモン剤を摂取すると、妊娠しているのと同じようなホルモン状態が作り出され、排卵が起きません。これがピルの基本原理です。
この基本原理からすれば、黄体ホルモン剤を摂取すれば避妊効果があるということになります。実際、そのようなピルもあるのです。黄体ホルモン単体のピルを「ミニピル」といいます。海外では、経口避妊薬としてミニピルが販売されています。日本でも、黄体ホルモン剤は使われていますが、もっぱら治療用に限られています。
ミニピルには、授乳中も使えるなどのメリットがありますが、少ない用量では十分な効き目がありません。
ミニピルに対して、一般にピルといわれている薬には、黄体ホルモン剤と卵胞ホルモン剤の両方が含まれています。2つのホルモン剤が含まれているので、混合ホルモン剤といわれます。混合ホルモン剤として使用するわけは、同じ用量でも単体で使うより効き目が強くなるからです。
■21錠タイプと28錠タイプ
ピルの製品には、1シートの錠剤が21錠の製品と28錠の製品があります。それぞれ、21錠タイプと28錠タイプといいます。
■1相性ピル・2相性ピル・3相性ピル
ピルには21錠の錠剤がみな同じ種類の製品があります。このようなピルを1相性ピルといいます。2種類に分かれているピルを2相性ピル、3種類に分かれているピルを3相性ピルといいます。